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5.4.5 急性リンパ性白血病の化学療法

本白血病の化学療法は副腎皮質ホルモン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、シクロフ ォスファミド、アスパラギナーゼを中心とする併用療法により完全寛解導入を目指します 。小児急性リンパ性白血病の95%、成人急性リンパ性白血病の70〜80%が完全寛解に到 達します。その後、メソトレキセート脊髄腔内注射や頭蓋放射線照射による中枢神経白血 病予防を行います。そして、導入療法と同じ薬剤やこれらとは交差耐性のない薬剤を併用 して地固め療法を3コース行い、さらに6MPとメソトレキセートを中心とする維持療法を 約2年間行います。小児では標準リスク群の80%以上、高リスク群の60%以上を治癒でき るようになりましたが、成人では化学療法に難反応性のフィラデルフィア(Ph)染色体陽性 も多いこともあって、完全寛解例の30%以下にしか治癒が得られません。ただし、年齢30 歳未満、初診時の白血球数3,000/μL未満でPh染色体を持たない予後良好群では50%以上 が治癒可能です。成人のPh染色体陽性の急性リンパ性白血病は骨髄移植療法を行っても治 癒させることは困難です。しかし、ごく最近、後で慢性骨髄性白血病の所で述べるように 、Ph染色体陽性白血病の原因となっている異常融合遺伝子BCR/ABLが作るチロシン・キナ ーゼ活性を特異的に阻害する経口薬(イマチニブ)が開発されましたので、Ph染色体陽性白血病の治療成 績が大いに向上するかも知れません。



愛知県がんセンター 病院長 大野竜三
小牧市民病院血液内科 市橋卓司