next up previous
Next: 6 慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia, Up: 5 急性白血病 Previous: 5.4.8 支持療法

5.5 経過と予後

 無治療のままで経過をみると急性白血病患者さんは2〜3ヵ月で死亡します。現時点の最良の化学療法を行った時、小児急性リンパ性白血病では、95% 以上が完全寛解となり、標準リスク群の80%以上、高リスク群 (年齢10歳以上、初診時白血球数3,000/μL 以上、Ph染色体陽性など)の60%以上が治癒するものと期待されています。ただし、成人急性リンパ性白血病では、約80%が完全寛解となりますが、化学療法だけでは、寛解例の30%程度しか治癒は期待できません。しかし、成人急性リンパ性白血病の約30%を占めているPh染色体陽性急性リンパ性白血病に対し、イマチニブが著効することが判りましたので、このタイプの急性リンパ性白血病の治癒率も相当向上するものと期待されます。

急性前骨髄球性白血病では、今や95%前後が完全寛解になり80%以上が治癒できるようになりました。

65歳未満の急性骨髄性白血病では約80%が完全寛解となり、寛解例の40%前後が治癒するものと期待されています。65歳以上の患者さんの急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病ともに完全寛解率は60%台であり、治癒もほとんど期待できません。G-CSF を使用することにより感染症対策が十分出来るようになりましたので、予後成績も向上すると期待されましたが、残念ながら期待外れに終わっています。

75才以上では治癒を得るのは困難ですので、患者さんのquality of life (QOL) を考慮した治療が行われます。骨髄異形成症候群由来の急性白血病は高齢者に多く、治療抵抗性です。

全ての病型で言えることですが、年齢が若ければ若いほど、治る確率は高くなります。一般的に、10歳、40歳、60歳、70歳が区切りの年齢になります。造血幹細胞移植も40歳までは副作用に耐えることができますが、50歳以上になると厳しくなります。


next up previous
Next: 6 慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia, Up: 5 急性白血病 Previous: 5.4.8 支持療法
愛知県がんセンター 名誉総長 大野竜三
岡崎市民病院 血液内科 市橋卓司